天谷奴零に騙されたい【ヒプノシスマイク】【短編集】
第8章 それゆけ二郎ちゃん【閑話】
一,三「ただいまー」
2人が帰宅する
その声から少し離れたくて
布団の中で耳を塞いだ
一「二郎、寝てんのかー?」
二「............」
三「これは完全にダウンしてますね...でも買い物も途中みたいですが...」
一「具合悪いのか?二郎?」
一郎が布団を揺する
二郎はそっと目元だけを出した
一「具合悪いか?熱は?薬はあるから...夕飯はお粥にするか...」
三「僕にうつさないでよー?...それと、早く治しなよ?」
2人の優しさは今の二郎にとっては少し辛かった
二「なんで俺だけ......」
一,三「?」
二「なんで俺だけ仲間はずれだったんだよ...兄ちゃんだけじゃなくて三郎もいて...俺、馬鹿だけど役に立ちたくて...頑張って...くっ、う」
気づいたら泣いていた
止めようと思っても止まらず
ただひたすらに言葉が出てくる
二「俺は兄ちゃんみたいにかっこよくなれねぇし、三郎みたいに頭がいいわけでもねぇ...でも、それでも役に立ちてぇんだ......っ、う...そんなに俺って...頼りねぇ?くっ...ん」
一「違う!違うんだ二郎!今日のは...その...色々あってだな、、」
三「それじゃあ逆効果ですよ!もう言っちゃった方がいいと思います...」
一「だな...なぁ、二郎。聞いてくれ」
二「ん...くっ、ん?」
一「今日は...これを買いに行ってたんだ」
三郎が廊下から持ってきた紙袋を見せる
それには今流行りの服のブランドのマークが入っていた
一「前に『いいな』って言ってだろ?ちょっと高いかとも思ったんだが...二郎はいつも俺と三郎の間で頑張ってくれてたからな、奮発したんだ」
三「男兄弟の...しかも真ん中、、色々大変だーってネットにも書いてあったしね...二郎がそんな苦労してるとは思ってないけど、まぁ...感謝してなくもないし」
二「...え?じゃあ...今日は全部俺のため?」
自分の小さな呟きを拾ってくれただけでなく
それを買ってきてくれた
しかも普段はツンケンしている弟が
素直ではないがそれを手伝ってくれた
二「お、俺...仲間はずれにされてると思って...」
一「驚かせたくてな...悪かった!」
三「仲間はずれにされたーって泣くなんて、二郎ちゃんはまだまだ甘えたでちゅね〜!」
二「んだと三郎!!」
