〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第9章 調査兵としての日々
二人の会話を聞いていたエルヴィン班の女性兵士がニタニタと笑ってキースに話しかけた。
「分隊長ぉ、ダメですよぉ。
こんな若い女の子に手を出しちゃ…
分隊長から誘われたらこんな新兵の女の子じゃ断れないじゃないですか!
タダでさえオジサンで怖〜いお顔なのに…」
この女性兵士の話にキースは眉間に皺を寄せ、呆れたように溜息をついた。
「お前な…
話の内容を聞いておきながらどんな解釈の仕方だ…
ジル…と言ったな。
お前が嫌なら一人で行くがいい」
キースがそう話を振ってきたので、ジルは慌てて返事を返した。
「えっと、カルラさんとは以前、何度か会ったことありますけど、四年も音信不通のままでいきなり会いに行っても私もカルラさんも困ってしまうだろうし、事情を知ってる分隊長が間に入ってくれると私としては助かります…」
これを聞いて反応したのはキース─ではなく、女性兵士だった。
「おぉ!
良かったじゃないですか!分隊長!
こーんな若くて可愛い子とデート出来ちゃうんですから!」
「お前な…
いや、いい。
まぁ、そういう事だ。
予定が決まり次第また伝える。
訓練励めよ」
そう言ってキースは元の場所に戻るべくその場を離れていった。