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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第9章 調査兵としての日々


「なぜその名前を分隊長が…
それは私の母の名前です」

そう答えるとキースはやはりといった表情でひとつ頷く。

「やはりあの時の娘だったか。
お前の母が働いていた店の常連客だ。
お前は覚えてはいないだろうが、四年前のあの流行病の時にお前が道端に倒れていたところを見つけて病院に運んだのは俺だ。
その時はお前がアマリアの娘という事は知らなかったが、後々お前を助けた医者からお前の事を聞いてな…
あの日はアマリアの家に様子を見に行く途中でお前が倒れていたのを見付けたんだ。
もっと早く母親と祖父さんの様子を見に行ってやれば救ってやる事もできたんだが…すまなかったな」

キースから謝罪の言葉を聞いたジルは、慌てて手と首を横に振る。

「そ、そんな!分隊長が謝る事は何一つ無いです!
私がもっと早くに助けを呼んでれば…
それに分隊長は私の命の恩人です!
こちらが感謝する立場です!
助けていただいたのに四年も過ぎて礼を言う無礼をお許しください」

「そう思うならカルラ─お前の母親の同僚がお前の事をいたく心配していたから今度調整日の時にでも店に連れてってやるから直接話をしてやってくれ」

慌てて頭を下げたジルに対し、キースはポンっと肩に手を置いてそう言ってくれた。
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