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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第9章 調査兵としての日々


何度か模型を見つけては削ぎ落とすのを続けていると森の出口が見えてきたので、エルヴィン等がいるスタート地点に戻ることにした。

スタート地点に戻ると既にミケも戻っており、エルヴィン班の班員達がミケに話しかけていた。

「ジル達も戻ったか」

ミケがこちらに気づき、話しかけてきた。

「相変らず貴方は一撃でサクッと削いじゃうの羨ましいわ」

私なんて無駄なガス消費しなきゃ、まともに削げないんだからと拗ねたように言うとミケは頭に手を置き、お前が俺の様に力がある女だったら可愛くないだろう。と言ってフッと鼻で笑っていた。
ミケの想いを知ってしまったジルは、ミケのこの可愛いという言葉に赤くなってしまう。
エルヴィンが見てる前で他の男性からの言葉で照れてしまう自分に喝を入れ、慌てて平静を装う。
そんな二人のじゃれあう様子をエルヴィン班の班員等は笑って見ていた。
一人を除いて。
そう、エルヴィンだけは笑顔ではなく、いつもの真面目な表情でジル達二人を見ていた。





エルヴィン班の班員等に訓練中に気になった所をアドバイスしてもらったりしていると後ろから誰かがやってきた。

「今期の新人は中々の粒ぞろいだな、エルヴィン」

「分隊長」

エルヴィンが振り向き、分隊長と呼んだ男はジル達三人に向かって優秀だと言ってくれた。

「今期の他の者は分かりませんが、少なくともこの三人に関しては実戦レベルで使えると私が保証します」

エルヴィンがそう言うと目の前の分隊長は、ほぉ。と驚きが混ざった感嘆の声を上げた。

「エルヴィンが言うなら間違いないだろうな。
私は第一分隊隊長のキース・シャーディスだ」

キースが名乗るとジル達三人も右手の拳を左胸置いた敬礼をして名乗りあげる。

「南方訓練兵団から来ましたジル・ラディウスであります!」

ミケ、ローエンに続き、ジルが名乗りあげるとキースは僅かばかりに目を見張った。

「お前、似てるな」

似てる、とは誰のことだろうか。
キースの言葉に戸惑っていると、キースは更にこう続けた。

「アマリア・ラディウスという女性とは縁者か?」

それはジルの母親の名前だった。
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