〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第9章 調査兵としての日々
「流石実際に巨人共と戦ってるだけあるな…
それに連携が凄い」
エルヴィン達がよく見える大木の枝に上がって、そう呟いたのはローエンだった。
ジル達三人だって三年も訓練してきたが、彼等調査兵達に比べるとまだまだ甘いところあった。
命を掛けて戦う彼等はその戦場において、仲間という絆がそうさせているのだろうか、急に現れた模型にも阿吽の呼吸で対処していった。
しばらくエルヴィン達の訓練の様子を見学してから、ジル達も訓練に参加する時が来た。
「ミケ、貴方は単独でやる?それとも私達と連携で?」
ジルとローエンは三年間ずっと同じ班でやってきていた為、連携はしっかり取れるがミケとは班が別れていたので上手く連携が取れるとは限らない。
それ故、ジルはミケに確認をとる。
「俺はは一人でいい」
ミケはそう言うと立体機動で森の奥へと入っていった。
ジルとローエンもそれに続いて立体機動で奥に入っていく。
ジルは持ち前の素早さを活かし、初めての場所であったが、かなりのスピードで森を翔ける。
ガスの消費は抑えられなかったが、それでも及第点には届くはずだと思い、そのままのスピードを保つ。
ローエンはジルに若干遅れるも、中々のスピードでジルに続く。
森に設置された模型を探そうと視線を少し落とすと、それは直ぐに現れた。
「ローエン!」
「あぁ!任せとけ!」
二人は模型を前にジルは上方にローエンは下方に飛んだ。
ローエンは模型の脚部に取り付けられている“肉部”を確認すると一刀のもと斬り伏せる。
このスナップブレードは二本で一対となる物だから正しくは一刀のもとにとは言えないが…
ローエンの討伐補佐を見届けたジルは“いつも”のように目標より高い位置にある樹木にアンカーを刺す。
ワイヤーを巻取っていき、自身の体が目標より高い位置にくるとアンカーを外し、頭が真下に来るように体を捻らせると今度は目標に向かってアンカーを再び射出させる。
ジルは垂直に急降下して獲物を狙うハヤブサの様に速いスピードで模型の弱点部位に近づく。
そのスピードを活かし弱点部位を手に持つブレードを使って削ぎ落とした。
削ぎ落とすのを確認した二人は再び立体機動でその場から去り、次なる目標を探すのだった。