〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
「おい、大丈夫か?」
ジルは身を起こしたままの姿勢で掌を見つめていると横から男の声がしたのでそちらを向くと、心配した顔のミケがそこにいた。
「あれ、ミケ…
そっか…私、立体機動の訓練中に目眩起こしてミケに運んでもらったんだっけ…」
「あぁ。
それより、魘されていたが大丈夫か」
「…うん。大丈夫。
ちょっと嫌な夢見ただけだから─」
父親と何かあったのか、エルヴィンとは誰の事か、ミケは気にはなるが込み入った話を聞けるほどの仲では無い故、その話は避ける事にした。
「お前をここに連れてきてからそんなには経ってない。
医務官は留守にしているがそのうち戻るだろうと思ってお前についていた。
意識もしっかりしてるなら、自分で医務官に伝えてくれ。
俺は装置を戻しに行かなければならないんでな。
ついでにお前のも戻してくる」
そう言ってミケは早々に医務室を出ようと座っていた椅子から立ち上がる。
それを見たジルが慌てて謝罪の言葉を口にする。
「ミケ、迷惑かけてごめんなさい。
片付けまでさせて本当に申し訳ないわ」
「大したことではないから気にするな」
じゃあな、とミケはジルの分の装置を持って医務室を出ていった。