〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
医務室に着き、ミケは抱えていたジルを診てもらおうと医務官を探すも留守にしているのか見当たらなかった。
とりあえずジルを寝台に寝かせ装置や鞘を外してやり、すぐに医務官が戻るだろうと思い待つ事にした。
そのまま寝かせて立ち去る事も考えたが、彼女の状況を医務官に伝えなければならないだろうからミケは大人しく待つ事にしたのだ。
医務官の戻りを待っていると、寝台に寝かせたジルが眉間に皺を寄せて苦しそうな表情で譫言を何か呟いていた。
「おと…さ…ごめ…なさ…
約束…ぶって…ごめん…さい」
お父さんごめんなさい、約束破ってごめんなさい。
そうジルは言った。
熱が出てきて譫言を言っているのだろうが、ただの譫言にしてはとても苦しそうな感じだった。
苦しそうなジルをミケはどうする事も出来ずにただ、黙って見つめていると今度は何かを呟きながら何もない空(くう)に向かって手を伸ばしていた。
「エ…ヴィ…、…まっ…!…をひとりに…ないで…
おねが…!置いてかないで!エルヴィン!!」
言葉の最後はハッキリと叫ぶように声を出したジルは、ガバッと身を起こし、意識を覚醒させた。