〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
「私ももう終わるつもりでこちらに来たのよ」
「そうか、それならいいが」
「ええ、疲れてるから先に──」
ジルは話を終えて先に戻る事を伝えようとしたが、先程からの気だるさが急に重くなり、立体機動での移動を継続出来なくなっていた。
ワイヤーを巻取り、アンカーを刺した木の枝の上で木に手を付くと、ガクッと体から力が抜けその場に膝をついた。
そんな様子を後ろから見ていたミケは急ぎジルのもとへやってくる。
「おい!
ジルどうした!」
「ちょっと、体に力入らなくなっちゃって…
ちょっと休んでれば大丈夫だと思うから、先に上がって?」
ミケの方を向かずにジルは答える。
辛そうにしているジルを放ってそのまま帰る訳にも行かなかったミケはジルに近付き、ジルを軽々と抱き上げた。
「ちょ、ちょっと!
休んでれば平気だから、降ろして!」
焦るジルにミケは鼻で笑うと、何も言わずに片手で立体機動装置を操り、木の上から降りる。
森の訓練場の出口はすぐそこなので、ミケはジルを抱いたまま歩き出した。