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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第7章 訓練の日々


翌日、午前の座学が終わり食堂へ向かう途中、ミケを探す。
人が大勢いる中、他人より背の高いミケを見つけるのは容易な事だった。
人を避けるようにしてミケの背後に近寄ると、声をかける前にミケは振り向きジルの名を呼ぶ。

「ジルか」

「いつも思うんだけど、ミケって絶対に前世犬だよね」

ミケと知り合ってから、毎回ミケは背後から声をかける前にジルの存在に気づく。
彼の特殊能力と言っても過言ではない正確すぎる嗅覚にジルはタジタジである。

「そんなどうでも良い事を言うために呼び止めたのか?」

ジルはミケと並んで食堂へと歩き出す。

「まさか。
私の同室の女の子が成績優秀者であるミケくんに立体機動のコツを教えてほしんだってさ。」

「なに…
そんな事おま─ジルがいるのだからジルに聞けば良いことだろう」

一瞬、お前呼びしそうになるも、ジルの鋭い視線に、慌ててミケは名前で呼ぶ。

「最初、私にコツを教えてくれーって聞いてきたよ?
だけど、アレって口で言っても分からないと思うんだ。
自分の体の感覚でやる事だと思うから。
だから私は本能的にやってる事だからコツとか言われても分からないって答えたの。
そしたら何故かミケの名前が出てきて、ミケは近寄り難い人だから直接聞きに行けないから私が聞いてこいってさ」

「同意見だな。
体格、筋力、体幹、動体視力、空間認識力、耐G能力は人によって違う。
だから他人から伝えられるコツなんてものはアテにはならん。
教えられる事など手順ぐらいしか無い。
唯一、アドバイスする事があるとすれば……
習うより慣れろ。
これに尽きる」

「ま、それが妥当よね」

そう話を締め括ると、ちょうど食堂に着いた二人は中へ入っていった。
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