〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
「あ゛ぁー。
今日も疲れたぁぁぁ」
そう言って自室にある机の上にパタンと伏せるのはユリアナだ。
疲れきってるユリアナの様子に他の同期も頷く。
「ほんと、今日はヤバかったねぇ…
あのサディスト教官め!
立体機動の訓練でゴール地点までにミスった奴はペナルティだなんて!」
口々に教官の悪口大会が始まった。
そんな中で、一人が「でもジルは凄かったよね!」と急にジルに話を振ると他の同期達も同調した。
「確かに!
ねぇ、ジル。
立体機動を上手くこなせるコツとかあるの?」
そう問われ、ジルは少し考える素振りを見せた後、うーんと唸り始めた。
「感覚でやってるから何とも…
次は何処の的にアンカーを刺すとかワイヤーをどのくらい巻きとったら次に射出するとか全部本能というか無意識にやってる所あるからコツと言われても…
ただ、空間認識能力が私は高いのかも…そのお陰で立体機動が得意なのかもしれない…たぶん」
「ジルに聞いてもダメかー。
あ!そうだ!ジルがダメならもう一人優秀なのがいるじゃない!」
「そうなの?その人なら上手くアドバイスもらえるかもね」
ジルのこの返答にユリアナは分かってないなーとジルにダメ出しする。
なんの事かさっぱり分からないジルはユリアナにどういう事?と返す。
「もう一人の優秀な訓練兵ってのは、ミケ・ザカリアスの事よ!」
それを聞いてもやはりジルは頭の上に?がいくつも並ぶ。
「ミケが優秀なのは分かる。
でも、私が分かってないってのはどういう事?」
「あのね、ウチらとミケ・ザカリアスにはなんの接点は無いし、ミケって寡黙でちょっと近寄り難いじゃない?」
ミケが寡黙で近寄り難い?性格に難ありの変態の間違いでは無かろうか…
「私にはそんな感じしないけど」
「そう!だからよ!
アドバイスを聞くにしてもウチらじゃ聞き辛いからジルが代表して聞いてきてよ!」
「何で私が」
「堅いこと言わずに落ちこぼれの同期の為と思って!このとおり!」
手を合わせ頭を下げるユリアナを見て明日にでも聞いといてあげるわ、とジルは返事する。
それを聞いたユリアナはそのままミケと仲良く二人で自主練でも!と余計な一言を吐いたので、やはり自分で聞けと言ってやった。