〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
初日の立体機動の訓練から数日が経ち、今まで初歩的な訓練だけだったが、本日からいよいよ実戦的な移動訓練が始まる。
訓練地もいつもの崖がある広野ではなく、森林地帯だった。
「今日はいつもの崖ではなく樹木にアンカーを連続して打ち込み実戦的な立体機動での移動を行う。
スタート地点より真っ直ぐと移動し、森を抜けるまでがコースとなる。
いつもの崖よりアンカーを打つ的が小さい事と森の中では視界が遮られている事を忘れるなよ」
横一列に並んだ訓練兵達は合図と共に一斉に森へと飛び込んで行った。
何回か訓練を行ってきても、いつもと勝手が違う様子に訓練兵達は翻弄されていた。
ある者はアンカーを打ち損じたり、ある者は並走する同期とワイヤーを絡ませたり、ある者はアンカーを打ち込むポイントを誤り樹木に激突したりと様々な要因で訓練兵達を苦しめた。
そんな中でジルは立体機動と相性が良いのか空を飛ぶ鳥の如く、アンカーを次々と樹木に刺し、木々を掻い潜ってゴール地点まで楽々と到達する。
それもガスの消費を最小限に抑えて。
自分がどうやって飛べば速度が出るのか、ガスの消費を抑えられるのかジルは本能的に理解して実践しているのだろうか。
まだ数回の訓練しか受けてないにも関わらず、ここまで立体機動を理解して飛べるジルという訓練兵は逸材かもしれない…
教官─ハルトマンはそう期待するのだった。