〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
薪割り場に着くと、先に着いたのはジルだった。
今日はもうクタクタだったので、手早く薪割りを終わらせ夕食を済ませたら、とっとと寝てしまおう。
ジルは頭の中で算段をたてると、それを実施すべく薪割り斧を手に取り、手早く薪割りを行う。
「今日はお前のが早かったか」
薪割りを始めて少し経つとミケがやってきた。
ミケも薪割り斧を手に取り薪割りを開始した。
そんなミケにジルは一つ思っていた事をミケに話す。
「ねぇ、昨日から思ってたんだけど、“お前”って呼ぶのやめてくれない?
私自己紹介したはずだけど。
それとも貴方も名前ではなく変態さんとか、わんちゃんって呼ばれたいのかしら?」
貴方って匂い嗅ぐのがお好きみたいだからね、とジルは笑ってミケにそう言い放つ。
ジルはミケに午前の事で笑われたり、お前呼ばわりに対してのささやかな報復のつもりなんだろうが、ミケにとってはささやかな問題ではない。
変態や犬呼ばわりなど、御免こうむる。
「悪かった。
ジル、これで良いか?」
「ふふっ。
えぇ、それで良いわ。
わ・ん・ちゃ・ん」
ミケは呼び名を改めたのに対し、ジルは悪戯が成功したかのような顔つきでミケを犬呼ばわりした。
「おい、話が違うぞ…」
「ふふっ、ごめんなさい、今朝バカにしたように笑った分のお返しよ」
どうもミケと一緒にいると元来の性格である明るくお転婆な気質が表に出てきてしまうジルだった。