第5章 番外編
「………ぇ」
「よいしょ………っと」
ダランと力の抜けた時雨の身体を抱き起こして。
崩れ落ちないように身体をしっかりと抱き止め、下から思い切り時雨の身体を貫いた。
「━━━━━ッッ」
意識トばしても、こんなに締め付けるんだ、時雨は。
予想と反する気持ち良さに思わず一瞬、顔を歪める。
「あ、んた何、して……」
「しー」
笑顔で雨音くんを制して。
時雨の身体を下から突き上げるように揺さぶった。
意識はなくてもこんなに吸い付いてくる時雨が、ほんとにかわいくて。
かわいくて。
もっと苛めたく、なる。
「……………」
トロン、て。
焦点の合わない瞳が、ゆっくりと開いて。
視線が、絡む。
「きょー、じゅ?」
「起きた?ごめん時雨、今射精てる……、からちょっと動かないで」
「………っん、なか…あつッッ」
完全に、蕩けて。
焦点の合わない真っ赤な瞳が、欲望に揺れる。
意識も正気も。
失くした表情(かお)。
気持ち良さそうに顔を歪めて、搾り取るようになかを締め付けた。
「ほら時雨、雨音くん、見てるよ?」
「あ、ま、ね?」
「……っ」
なかに俺を咥え込みながら、身体を捻って時雨は彼へと視線を向ける。
向けられた雨音くんの表情からして、今時雨がどんな顔してるのか想像に足りる。
「雨音」
「しぐ、れお前………」
「きょーじゅ」
「ん?」
くるりと、こちらを向きなおして。
真っ赤な舌を覗かせながら人差し指を咥える時雨の、視線。
ゾクリと、した。
こんな顔、出来たんだ。
「時雨が、嫌い?」
「は?」
「時雨が嫌いだから、怒ってるからこんなこと、するの?」
「しぐれ?」
「教えて、きょーじゅ」
あ、れ?
なんか。
なんだろ。
時雨?
「全然、トんでねーよ時雨」
「ぇ」
「まともだよ、こいつは。あんたよりもずっと」
「雨音くん?」
「あんたの負け」
「………ぇ」
「教授」
ちゅ、て。
柔らかい唇が触れて。
「………時雨は教授が好きだよ」
にこりと、時雨はふわりと微笑んだ。