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暗殺者の正しい飼い方しつけ方

第2章 絶賛失業中、です。



「残念、こんな場所でなければきちんと殺して差し上げたのに」
「時雨は?」
「は?」
「さっきあんた、時雨といただろ………っ?」


時雨を、知ってる?


…………もしかして。



「あまね、ですか?」

「━━━━━ぇ」



やっぱり。
あまね、でしたか。







「………教授?」


ガタン、て。
背中で音がして。
ドアの向こうから、黒いドレスに衣装替えした時雨が、顔を出す。

「え」

瞬間に。
時雨は『彼』を見て。
顔色を変えた。



「…………雨、音?」



捻りあげた右手を解放し、時雨へと向き直る。

「帰ります」

時雨の肩を抱き帰ろうと、すれば。
時雨は足を止めてすがるように彼へと視線をうつした。


「ま、待って教授!!知り合いなの、雨音はあたしの友達なの!!」
「知ってます」
「え」
「彼もあなたを、探していたようですから」
「え?」


「………時雨」


近寄ろうとする時雨の間へと入り、それを阻止。

「なんで?教授、雨音は大丈夫だよ!?」
「彼もあちら側でしょう?時雨の『匂い』が着けば、勘づかれてしまいます」
「え」
「違う!!俺は………っ」
「雨音」
「俺は別に……。時雨がいないなら、あんなとこ」
「ねぇ教授お願い!!雨音も教授を殺すの失敗したんでしょう?なら戻っても殺されちゃう!一緒に連れてっていいでしょう?」
「雨音くんは私を殺しに来たわけではありませんよ」
「え」
「言ったでしょう、あなたを奪いに来たんです」

「………あたしを?」

「時雨、一緒に戻ろう?迎えに来たんだ」
「迎えに……?」
「帰ろう?時雨」
「…………ご、めん雨音」
「………」
「あたし、帰んない」
「時雨?」
「ごめん。━━━━━教授、帰ろう?」


「よろしいんですか?」
「いいの」



右腕に手を絡ませて、雨音くんから逃げるように帰ろうとする時雨と共に、その場を去った。
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