第2章 絶賛失業中、です。
「………えーと、今これ、どんな状況?」
真っ赤なドレスに身を包み、キレイな金色の髪は見事にアップに纏められている。
「パーティー、です」
「なんの?」
「それは、知らなくてもいいことです」
「……じゃぁ、パーティーに『これ』が必要になるとは到底思えないんだけど」
「これ?」
「太腿の、重たい荷物」
「時雨、仕事探していましたよね?」
「別に、探してない」
「でも失業中って」
「失業中だけど、教授がいれば全然困んないし」
「……あー、まぁ、それはそれで。んー、とりあえず時雨、今日は黙って従ってください」
「何すんの?」
「それはこれから説明します」
「………はーい。美味しいご飯食べれるなら、なんでもいい」
チン、て。
目の前のボタンが点滅して。
エレベーターの扉が、開く。
誰もいないエレベーターへと乗り込めば。
時雨も後を着いてきた。
「あたしは何をすればいいの?」
「何も」
「ぇ」
「ちょっと失礼、時雨」
「ぇ。……っ、教授?んん?……ふッッ、ぅんぅ!!」
扉が閉まるのを確認し、時雨の腰を抱き寄せ口付ける。
「きょ……ッッ」
ドンドン、て。
拳で胸板を叩く時雨の両手首を取って。
そのまま壁へと押し付けた。
「教授ッッ!!ふざけるのも……っ」
「ふざけてませんよ?」
「………っ!?ちょ、どこ……っ、さ、わ……ッッ」
唇を離し、首筋へと顔を埋め、目立つところに吸い付けば。
真っ赤なドレスと白い肌にキレイな紅い華。
空いた片手はドレスの裾から侵入し、太腿を撫でる。
「………きょ、じゅ……ッッ」
いい感じに時雨の表情が蕩けてくれた、ところで。
チン。
て。
エレベーターが、開いた。
「………残念」
パ、と時雨から手を離す。
けど。
乗ってきたカップルには何をしていたかがちゃんとバレバレだったようで。
会場に着くまでの、気まずい数秒。
時雨はずっと羞恥心にひたすらうつむき、色香を撒き散らしていた。
「………」
…………準備、完了。