第2章 絶賛失業中、です。
「……いい加減、機嫌直りませんか?」
目の前でオムライスを頬張るキレイな顔が、現在絶賛不機嫌全開中。
「下着も服も、新しいの買ってあげたでしょう」
コーヒーを口へと流し入れながら、未だ不機嫌顔で口いっぱいにランチを頬張る彼女へと、ため息ひとつ。
「そんな顔してると、オムライス不味くなりますよ」
「もともとこんな顔なんです」
「もともとはもっとずっと見ていたくなるくらいかわいいお顔でしたよ?」
「ならもっとずっと見ていたくなるかわいい女の子お探しください」
「………はぁ」
ため息ひとつ。
店員へとケーキセットの追加オーダーを、入れた。
「〰️おいひい、きょーじゅ」
「それは、良かったですねぇ。………ええもう、ほんとに」
まぁ。
かわいらしい顔が見れるなら、少しくらいの疲労くらいよしとしますけどね。
時雨にはどうしても甘くなってしまう自分に呆れて、本日3回目のため息を、吐き出した。
「ところで、ねぇ教授?」
「なんです?」
「どこに向かってるの?今日のお出掛けは、ランチ?」
「いえ、まさか」
「どこに行くの?」
お腹いっぱいランチを終えたはずの彼女の右手にはソフトクリーム。
幸せそうに頬張りながら。
先ほどの不機嫌さは微塵も見せないところが。
なかなか単純、とゆーかチョロいとゆーか。
彼女の長所だと思う。
「教授?」
キョトンと首を傾げる時雨がかわいくて。
自然と漏れた笑み。
自分よりもだいぶ下にある時雨の頭に掌をおいて。
「美味しい料理がたくさん出てくるところ、ですよ」
にこりと微笑んだ。
「え?」
疑問の中に浮かぶプラスの感情。
嬉しそうに喜びたいのを我慢してる複雑な表情に、溢れる笑みが止められない。
「ですが時雨」
瞬時に期待に感情を切り替えて目をキラキラさせているところ申し訳ありませんが。
「その前に、準備しましょう」
「準備?」
「そう、準備、です」
にこりと微笑んで、不思議顔で首を傾げる彼女の手を引いて、目的地へと足を進めた。