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暗殺者の正しい飼い方しつけ方

第2章 絶賛失業中、です。



「あーあ、クレープぐっちゃぐちゃですね」
「………教授」
「どうしました?お腹?殴られた?」



ぐちゃぐちゃになったクレープを拾いあげれば。
男たちはそのまま逃げるように駆け出して行き。
お腹を押さえて苦しそうにフラフラとこちらへと歩いてくる、時雨の姿。
胸へと顔を埋めるように、しがみつき、足を止める。


「これ……ッッ、取って止めて……っ」

様子が……?
震え方、すごい。


「お、なかッッ、…っしぃ、の」


「………」


ガクンと膝が折れて倒れそうになる時雨の肩を抱いて。
人気のない路地裏へ。
人ひとり通れるかくらいの狭い路地裏は、ほとんど誰も来ない。
この先にあるものにはみんな、きっと近付きたくはないだろうから。


「時雨?」
「きょ、じゅ……ッッ、早くこれ、取って」


ああなんかすごい。
なんだろう。
瞳を潤ませて、震える手でなかに挿入ったままの玩具の紐を必死に探す時雨の表情。
だけど体が言うことを聞かないのか、震えてるせいなのか。
いつもなら容易く届くだろう紐を、掴めないでいる。
下着にすら、手が届いてない。



「ひっ、っぁぁああ!?」



ガクン、と。
大きく身を反らして、その場で膝から崩れ落ちる、時雨。


「や、やだ……ッッ、ねが、いま、いまやめ……」

ペタン、と。
路地裏に座り込みながら足へとすがり付くように、両腕を絡めて、時雨は懇願の表情を、俺へと向けた。


「時雨」



膝を折って。
時雨と目線を合わせる。


「お願い、って、どうするんだっけ?」
「………っ」


ポケットから取り出したリモコンを、目の前でヒラヒラとさせれば。
時雨はみるみる表情を、青くする。



「………お願い、しま………っ」



恥ずかしそうに顔を背けながら、時雨はおずおずと、足を開いた。


「はい、良く出来ました」
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