第1章 出会い
ぎりぎり図書室が閉まる前に本を借りることができた。時間もなかったので急いで選んでしまった。試合後じゃなくて試合前に行ってゆっくり選べばよかったと後悔する。もう時間は5時過ぎ。あたりもまだ季節的には日は高く明るい。今日はお母さんが仕事で7時過ぎに帰ってくるので夕ご飯の支度をしなくてはならない。
(買い物は午前中にすましてたからよかった。帰って夕飯の支度とお風呂を沸かしておこう。)
目的も果たし家に帰るため学校を出ようとする。すると後ろからいのりを呼ぶ声がした
「いのりちゃん!!」
呼ばれた方に振り返る。
『及川先輩…?』
呼んだ人は及川であった。その後ろに岩泉がいる。
2人は息を切らしながらいのりの前に立つ。試合後に監督やコーチからの話があり急いで校門に向かうとちょうどいのりの姿が見えた。
『えっと…何か用ですか…』
中学以来何も関わりのなかった二人が走って自分のところに来るとは思ってもいなかった。