第1章 出会い
試合が進んでいく
ボールの弾む音
選手の掛け声ざまざまな音がいのりの耳に入る
(懐かしいな…お父さんがなくなって部活をやめてから無意識のうちに遠ざけていたもんな…やっぱりバレーっていいなぁ)
いのりの今まで閉じ込めていた感情が溢れてくる。バレーの試合、お父さんとの思い出、中学のころの部活、どれも楽しかった。いのりにとって濃い思い出の1部。それはもう1度起こるようなものではい。起こるものではないけどもう一度起こしたいと思ってしまう。
あの輪の中に入りたい…
(ちがう。ちがう。いまはバレーを見ることに集中。今日だけ。)
お母さんの少しでも助けになるようにバイトしていい大学入って余裕を持つためにはいまはバレーをしてる余裕はない。気持ちを抑えて押し込まないとまた溢れてくる。
(やっぱり青城って強いなぁ。及川先輩を中心にみんな個性を活かしてる。楽しそう。)
見ているとやはりバレー好きの癖なのか元マネージャーの癖なのか選手の特徴をメモしたりもっと鍛えたほうが良いポイントなどもを文字起こししてしまう。
全体的なバランスがある青城。
試合も見事勝利し片付けの準備に入る。
「はぁー及川さんかっこよかったぁ!いのり帰ろっか!」
遥が立ち上がり背伸びをしながらいのりに言う。
『あ、私図書室によってかりたい本あるからごめん、先に帰って貰っていい?』
真面目なんだからーと言いながら遥は先に帰りいのりも図書室に向かった。