第4章 覚悟
その日の夜勉強している いのりに電話がかかってきた。携帯の画面には”花巻貴大“の文字が画面に出ていた。
『も、もしもし』
「もしもし?今大丈夫?」
『あ、はい!大丈夫です」
突然の電話にびっくりするもつい嬉しくて顔がにやけてしまう。
「突然電話してごめんな。何かしてた?」
『勉強してました』
「あ、すまん。勉強の邪魔したな」
『いえ、大丈夫です。ちょうど休憩しようと思ってたので。えっと…なにかありました?』
「あっ…。いや用とかではないけどちょっと声聞きたいなって」
いのりには彼氏がいたことがなく世のカップルは用がなくても電話をするということを知った。
『あ、そうなんですね。ごめんなさい!えっと私も花巻先輩の声聞きたかったです…』
お互い照れて2人の間に沈黙が流れる。
「あぁえっと!今度2人で遊びに行かないか?って言ってもテストが近いから終わった後になると思うけど…」
2人で遊びに行くというのはつまりデートということが いのりでもわかる。
『行きたいです!あ、でもテスト終わって最初の休みはちょっと予定があって…。』
「あ、何か用事?なら別の日でもいいよ」
『すみません、用事というか亮くんと遊びに行く約束してて』
「あー亮太ね。どこに行くんだ?」
『一緒にプールに行くんです。亮くんに誘われて』
プールと言う単語に花巻はぴくっと反応する。
「2人で行くのか?」
『あ、えっと一応私の友達も誘おっかなって』
(女子2人と小学生1人でプール…。絶対に危ない!そして俺のいないところで俺以外の男が 水瀬の水着を見るなんて無理…!)
花巻は意外と自分は独占欲が強いのだとわかった。今まで付き合った女の子に対してはそんなに嫉妬とかはなかったがどうしても いのり相手だと心配になったり独占欲強くなってしまう。
これから花巻は いのりに振り回されるんだろうなと感じた。