第3章 変化
いのりは花巻を送っていくため2人で並んで歩いて行く。あたりはもうすっかり夜になっており虫の声がよく聞こえる。
「わりぃなこんな遅くまで。送ってもらって。明日も用事あるんだろ?」
『あー大丈夫ですよ。ただの部活の買い出しなので』
「はっ?部活の買い出し? 一年でか?」
『いえ、私1人でですけど?』
「なんでそれをいわねぇんだよ!」
花巻はやるなのにも関わらず大きな声を出してしまった。いのりは少しびっくりしたような顔つきで花巻を見る。花巻はため息をこぼす。
こんなところで いのりのお母さんの言葉を思い出す。
[あの子すぐ頑張りすぎて無茶する子だから]
たしかに。色々頑張りすぎだろ。普段のマネージャー業務でさえ忙しいのに。
「明日の買い出し俺も行くからな」
『え!大丈夫ですよ。そんな休日に悪いです。』
「いいんだ。俺が行きたいんだから。もっと周りを頼れよな」
『頼ってるつもりなんですけど…』
「じゃあもっと頼れ」
その言葉を聞いていのりは『ふふっ』と笑った。
「なんだよ」
『なんか花巻先輩お父さんみたいで』
「ばか、そこはお兄さんにしとけ」
話しているうちに駅に着いてしまう。駅近くにはまだ人もそれなりに多い。
「じゃあまた夜、明日の連絡するから。この帰りも気をつけるんだぞ」
『はーい。またお父さんみたいなこと言ってますよ』
「うるせぇ。じゃあ気をつけて。今日はほんとにありがとうなまた明日」
『はい。こちらこそありがとうございました。明日もよろしくお願いします。』
花巻は駅のホームへ向かいいのりは家へと帰宅した。
[ラリン]
花[今家に着いた。明日何時にする?]
いのり[できたらクリーニング屋さんにもよってユニフォーム受け取りたいと思ってるので買い物は午前中かなって思ってます]
花[じゃあ俺10:30の電車に乗るから水瀬もそれくらいの時刻の電車に乗ったら合流できるかもな]
いのり[10:44があるのでそれにします。では明日もよろしくお願いします(*^^*)おやすみなさい]
花[おやすみ]