第3章 変化
花巻はすっかり夢中になり子どもたちとサッカーを続けた。しかし時間は6時を回っておりみんな慌てて帰った。亮太も「またあそぼーな!花巻!いのりねぇちゃんもバイバイ!」と言って帰って行った。
『すっかり懐かれましたね』
「もうくったくただよ。」
と笑いながらため息をつくもその表情はどこか嬉しそうでいのりはふふっと笑う。あたりはすっかり暗くなりかけている。
「帰るの遅くなってごめんな」
『全然大丈夫です!むしろりょうちゃんと遊んでくださってありがとうございました』
「じゃあ帰るか」
『そうですね』
2人はまた歩き出す。公園からはそんなに時間もかからずあっという間に着いてしまった。「じゃあまたな」と別れようとした時
「あれいのりじゃない」
『お母さん!お帰り早かったんだね。』
「今日お偉いさんたちの会議らしくて早めに上がらせてもらったのよ。…ところでこちらの方は…彼氏?」
いのりのお母さんはちらっと花巻の方をみて聞いてきた。花巻も突然のいのりのお母さんに対してびっくりしいのりとお母さんを交互に見る。
『ち、ちがうよ!!部活の先輩!花巻さん!前に話したでしょ。お父さんの教え子が先輩にいるよって!」
いのりがマネージャーをしたいと相談した際ちょこっとだけ花巻のことを聞いていたお母さんは「あー!あの花巻さんね」と言いながら笑う。
「あの挨拶遅れてすみません。水瀬じゃなくていのりさんの部活の先輩の花巻貴大といいます。水瀬先生には5年生の時にお世話になってました」
というと花巻は頭を深々と下げ挨拶をした。
「そんな堅い挨拶は大丈夫よ!」
「じゃあ俺はこれで失礼します」
「あれ?中に入らないの?せっかくなんだから夕飯一緒食べましょうよ」
お母さんの意外な提案にいのりも花巻もびっくりする。
「いや、自分はいのりさん送るだけだったので…」
「いいじゃない!お母さんも花巻くんとお父さんの話聞きたいわ。それにお父さんにも手を合わせて行ってほしいからね」
その言葉に2人は、はっとし「それならお言葉に甘えて失礼します。」といい花巻を水瀬家へ向かい入れた。