第3章 変化
夕方の公園で小学生がサッカーをしている中で高校生が混ざる。亮太は「仲間連れてきたぞー」と言ってもう友達と合流していた。
『ほんとに大丈夫ですか??』
「え、なに水瀬も俺がサッカーできないと思ってるの??」
『いや、そうじゃないですけど…』
花巻は軽く準備運動をしながら「ま、大丈夫だって」と言って小学生の中に入ってしまった。公園は遊具のとなりに広めの芝生の広場がありサッカーをするには十分であった。
合図が出されるとボールの取り合いが始まる。花巻は小学生に狙われてどんどんボールを取りにくるが軽く避けたりパスしたりと意外にも上手だった。
花巻の無邪気にサッカーをしている姿をみていのりも嬉しくなる。たまに亮太が手を振って「みてるー?」と言われても「見てるよー!』と手を振りかえす。
『ちょっとみんな休憩しよー』
いのりの掛け声にみんな集まりいのりが買ってきたジュースをもらう。みんなから「ありがとうございます」と言われていのりも嬉しくなる。ジュースも飲んだらさっそくまたサッカーに戻っていく。
「水瀬ジュースありがとな。」
『いえいえそれくらい大丈夫です。それより花巻先輩は大丈夫ですか?」
「正直めっちゃつかれたよ。あいつら体力底なしかよっ」
亮太たちを見てハハっと笑う。「おーい花巻早くこいよ!」と呼ばれ「くそ、あいつら」と笑いながら手を挙げて「もうちょっと休ませろ」と言う。そんなやりとりに思わずいのり笑ってしまう。
『いいですよね。男の子って。なんか花巻先輩に嫉妬します』
花巻は立ち上がりうーんッと背伸びをする
「なんだそりゃ。男でも女でも水瀬は水瀬だろ。水瀬にもいいところはたくさんあるんだから自信持てよ」
といのりの頭を軽くぽんぽんっと叩き「ちょっくら行ってくるか」と亮太たちの輪にはいっていった。
残されたいのりは顔を赤くする。
(頭ぽんぽんってされちゃった…なんかあの時の花巻先輩すごくかっこよかったなぁ…)
それからいのりは花巻の事をよく目で追ってしまいあまりサッカーに集中できなかった。