第3章 変化
気づけば時間は17時。花巻は家まで送るよと言われて2人で歩いて行く。家族連れが多く明るい雰囲気の住宅地だった。
「なんか雰囲気いいな。あったかい感じがする」
『私もこの雰囲気大好きです。ここら辺は通学路だったんで思い出深いんですよね。あ、ここの公園とかお父さんとバレーの練習とかしてたんですよ』
いのりはなつかしいなーと言いながらちょっと公園を覗いてみた。公園ではまだ小学生くらいの子供らが遊んでいる。花巻も「俺もあんな感じだったな」と笑いながらまた2人は歩き始めた。すると公園の方から声が聞こえた
「いのりねぇちゃーん!」
声の下方を振り向くとさっきまだ遊んでた小学生出会った
『りょうくん!』
「いのりねぇちゃん!こんなとこでどうしたの?」
小学生はいのりに抱きついてきた。いのりは『おうちに帰るところだよ』と説明する。いのりに抱きついたりょうはぎろっと花巻をにらんできた。
「誰この人」
『私の部活の先輩。花巻先輩だよ。花巻先輩この子亮太(りょうた)くんっていって私の家庭教師しているいとこです』
遼太はいまだにいのりに抱きついて離れようとしない。いのりが『ほら挨拶して』といってもプイッと顔を晒し花巻にいのり名前ないところでべーっと舌をだす。
(こいつクソ生意気だな!)
花巻は初対面だが亮太の性格だけはなんとなくわかったような気がする。クソ生意気ということが。
「ねぇいのりねぇちゃん!遊ぼうよ!今あっちでサッカーしててさ」
『えぇ!サッカーはちょっと苦手かな…』
「えー後1人いたら3:3で練習できるのになぁ…しょーがねーじゃあそっちのおじさんでいいよ」
と亮太が指を刺したのは花巻だった。
「お、おじさん…!」
『こら!亮ちゃん!おじさんなんて言っちゃだめでしょ!ごめんなさい先輩気にしないでください。だめだよ迷惑かけちゃ』
「まぁーバレー部だからサッカーはそんなにうまそうじゃないけど」
とまた余計なひと言をいっていのりを困らす。いのりは花巻に対して『すみません、すみません』と謝る。
「水瀬ちょっといまから子どもに高校生の凄さをわからしてくるわ!」
といってサッカーしているところへ向かった