第2章 転機
試合は先ほどとは変わった。相手のチームは攻撃参加が確実に減りブロックしやすい状態になりこちらはブロックでコースを絞ったことでボールを拾える確率がぐんぐん伸びブロックを少なくした分体力的に余裕のある選手がアタックをどんどん決めるようになり気づけば青城のマッチポイントになっていた。ボールが及川のところは上がり最後岩泉が決め試合終了。青城の方が決まった
最後選手たちは握手を交わし相手校へのアドバイスを監督から伝えてひと段落する。いのりは選手の人にタオルやドリンクを渡しながら声かけをしていく。
(あと…タオルとドリンク持ってないのは…)
と全員にタオルとドリンクを持っていない人はいないかキョロキョロするとまだ床に置いてあるボトルを見つけ誰だろうと思い名前のシールを見るとそこにあったのは花巻という名前のボトル
(あ、花巻さんの…)
と花巻を意識した瞬間さっきことが思い出される″「かわいい」〝そんな言葉を男の人から言われるのは初めてで再び思い出してしまう。しかし聞き間違いかもしれないし冗談かもしれないしと自分を誤魔化し頭を振って忘れようとすると後ろから声をかけられた。
「あれっ?水瀬さん俺のボトル持ってる?」
『え、あ、花巻さん!待ってます。すみません、床に置いてあったので誰のかなと思って。どうぞ…!おつかれさまでした』
「おうっさんきゅ」
先ほど忘れようと思ったのに急に声をかけられてびっくりする。さっき忘れようとしたのにまた花巻の顔を見るとやっぱりさっきのことを思い出してしまい少し花巻から目を逸らしてしまう。しかし及川がタイミング良いのか悪いのか話しかけてきた。
「いのりちゃーん俺たちの試合どうだったー??俺かっこよかったでしょー?」
『みなさん本当にバランスが良くてお互いがお互いを支え合ってるし能力を引き出しあっている感じがすごく素敵でした。みなさんかっこよかったです!』
言い終わった時には選手ほぼ全員がいのりのことを見ており固まっていた。いのりはどうしたのかと思い頭にはてなマークをうかべるが監督とコーチに呼ばれその場を『失礼します』と言い離れていった