第1章 出会い
雨の降る道端で子供ながらに泣いてしまういのりに対してここはなんだからと言い花巻は駅の改札まで2人で少し早歩きで歩いて行く。
『すみません…こんなに泣くつもりじゃなかったんですけど…でも話聞いてもらえてちょっとスッキリというか…なんか心が軽くなりました。ありがとうございます』
涙を拭きながら花巻に笑顔でお礼を言う。
いのりの初めての笑顔を見て花巻はその顔に少しドキッとしてしまう。
(笑うとめっちゃかわいいな…)
そんなことを思って少しぼーっとしてしまう
『花巻さん…?』
「あ、わり…ちょっとぼーっとしてて…」
『え、大丈夫ですか…?風邪とか引いたとか…?』
スポーツ選手が風邪を引いたら大変と言いいのりは慌ててカバンからタオルを取り出しごめんなさいと言いながら花巻の制服を拭こうとする。
(えっ…ちょ…ちょっとこの子無防備すぎな…?)
あまりにも近い距離に花巻はびっくりする
近寄ったいのりからなのかタオルからなのかなんだかシャンプーの匂いのような柔軟剤の匂いのようないい匂いがする
(やべぇ…俺変態みたいじゃん……)
「大丈夫…!大丈夫!俺風邪ひかないから。それより水瀬さんの方が風邪ひかないようにして」
といのりの手を押すかのようにしてやんわり断る。
するといのりは花巻の顔を覗き込むようにみつめ
『ほんとに大丈夫ですか…?」
とほんのり困り顔で聞いてくる。
その場を収めるためにも花巻は大丈夫、大丈夫と言いながらその場を凌ぐ。
(この子もしかして天然か…それともわざとしてるのか…!?)