第1章 出会い
花巻はいのりに近寄り話しかけてくる。あたりには学生も先生もおらず二人きりである。初対面の人と二人きりとは少し気まずい雰囲気になる。
「今帰りなの?こんな遅くまでなにしてたの」
『あ…ちょっと図書室で勉強してました…。』
いのりだけが気まずいのか花巻は気にもせず話しかけてくる。
「おれさ、ちょっと君と話したくて。少しでいいから一緒に帰らない?」
以外な提案をされて断っても失礼になるかもと考えたいのりはうなずき一緒に帰ることにした。
「水瀬さんって呼んでいいかな。及川から色々話は聞いててね。聞いてるよ。すごいマネージャーなんだってね。」
『いや…そんなことないですよ…。』
初対面でも意外と話せてしまう。それが花巻の魅力なのだろうか。以外にも気まずい雰囲気はなくなった。
「そういえばマネージャーならないの?」
あまり話題にしたくなかったことを聞かれ少し間をあけて答えてしまう。
『…しません。皆さんの迷惑になりたくないので…』
「そっか。あんまり強要はしないけど。別に俺たち迷惑とは思ってないから。あんまり気にするなよ。」
初対面の人にそんなこと言われるとも思っていなかったので少しうれしく感じてしまう。