第1章 出会い
いのりは及川の提案に驚く。しかし岩泉は驚いていないようで及川の提案に付け加えて説明する。
「そうだな。水瀬がバレー好きなら少しでも俺たちに力を貸してほしい。俺たちに迷惑をかけるからと言って断らないでほしい。それくらい俺たちも水瀬のことをサポートしたいと思ってる。だからマネージャー仮の期間でしてみないか」
二人の言葉を聞き泣きそうになる。こんなにも自分のことを思っているとは思ってもいなかった。必要とされてることが純粋にうれしい。自分の能力を認めてくれていることがうれしい。こんなにも自分は自分に否定してバレーから遠ざかろうと思っているのに私のやっていることは間違いなのかという疑ってしまう。
二人の提案はいのりにとってはうれしい選択肢だった。でもすぐに答えが出すことはできない。
『あのお二人の気持ちも提案もすごくありがたいです。でも少し考える時間をくれませんか…』
及川も岩泉もすぐに答えを出す必要はないと笑顔でうなずいてくれた。もし決まったなら今度また土曜に練習試合があるからその時に来てほしいということだった。
まだ自分の気持ちに整理がつかないまま部室を出ることにした。部室を出た時にすれ違う人も気づかぬままいのりはぼーっとしていた