第4章 仲間
新入生を迎えに行くということで、今私と恵君は電車で原宿に向かっている。
五条先生と虎杖君は用事があるそうで、原宿で合流するとのことだ。
相変わらず恵君は私に話をしてくれない。気まずい空気が2人を取り囲んでいた。
"気まずい…"なんて思っていると、突然隣に座る恵君が口を開いた。
『・・その…色々悪かったな。
俺を守ってくれただけなのに、しばらく引きずって嫌な気持ちにさせちまったな。
でもさ、泉智はもうちょっと自分のこと大事にしてくれ。
ああいう状況になったら逃げろ。とにかく俺に任せて逃げてくれ。
俺のこと信用できないか?』
恵君は真っ直ぐ私の目を見て問い掛ける。
『ううん。
でもね、私あの時助けてくれた恵君に恩返しをしたくて…』
『そう思ってくれるなら、俺が助けたことを無駄にしないでくれ。
・・・分かってくれるか?』
『うん…。ごめんなさい。』
『分かればいい。』
恵君はそう言って微笑んでくれた。
恵君と話せなかった1週間は正直辛かった。
大事なモノを落としてしまったような、そんな虚無感に襲われていた。
そして、なぜか恵君を見るたびに、胸の奥がキュンと痛くなった。
・・・この気持ちは一体なんなんだろう…
人から突き放されることは慣れているはずだったのに、痛くて辛くて悲しかった。
もうそんな想いをしたくないーー
私は、取り戻せた日常をもう手放さないと固く誓った。
『そういえばさ、泉智って五条先生と何かあ『お疲れサマンサー!!』
恵君と話しているところに割って入ったのは、五条先生だ。
先生の声のせいで、恵君の話が聞き取れなかった。
五条先生がどうとか言ってなかったっけ…?
『恵君ごめん、聞き取れなかった!今なんて言ってくれたの?』
私は聞き取れなかった質問を再度聞く。
『いや、なんでもない』
恵君は俯き加減でそう答えた。
『さっ!!そろそろ原宿だよー!
新入生を歓迎しようじゃないかっ!』
五条先生はいつも通り明るくそう言った。