第1章 遭逢
雪が降り積もる12月上旬・・・
今日はいつにも増して寒い日だ。
吐く息は白く、足先の感覚はほぼなくなっている。
『さっむい…』
私はごくごく普通の中学3年生。
何の取り柄もなく、地味に、目立たないように、平和に生きてきた。
しかし、ここ最近あるモノに悩まされている。
にゅるにゅるにゅる
【貴方ニ私ハ見エテイマスカァ?ケラケラ】
あっ、まただ・・・
人の形を成していない、昔よく絵本などで見た妖怪に似たモノ。
私は普段通り、見えていない・聞こえていないフリをして通り過ぎようとする。
しかし、その妖怪は私の背後に回り込み
【見エテマスヨネェエ!】
と叫び、私を頭上から丸呑みしようとした。
咄嗟にギュッと目を固く閉じ、頭を抱えしゃがみ込む。
"何が起こっているの?怖い、誰か助けて!殺される…!!"
【ギャアァアアアア!!!】
そのあるモノは突然大声を上げ、私を包み込んでいた影は消え去り、辺りは明るさを取り戻す。
"・・・へ?私・・生きてるよね・・・?"