第8章 後遺症◎
朝、虎杖君と校門前で待ち合わせ。
新しく買ったチークと口紅でメイクは大丈夫…なはず。
髪も少しだけ毛先を巻いてみたし大丈夫…なはず。
服装は少し女子っぽくワンピースにしてみたし大丈夫…なはず。
"こんなので大丈夫かな・・・"
頑張って用意をしたはずだったのに、直前で不安になる。
『…吉本?』
『あっ!!虎杖君おはよう!!!』
『…おっおはよう』
虎杖君は気まずそうに斜め上を見て、頭をポリポリと掻きながら言う。
"やっぱり私変だったんだ…"
少し凹んでいると、虎杖君が口を開く。
『服装もメイクも髪も…よく似合ってる。』
『えっ?!あっありがとう!!』
頑張ったので、褒められたことが嬉しく自然と笑みが溢れる。
『そんじゃ、行きますか!』
『わ〜!よ◯うりランドって初めて来たんけど、すごく広いんだね!!!』
そもそも遊園地なんてほとんど来たことがなかったので、かなり興奮してしまった。
凄まじいスピードで動くジェットコースター、乗っている人たちがみんな笑顔のコーヒーカップ、子供が泣きながら出てくるお化け屋敷…
目まぐるしく動く景色にワクワクする。
どれぐらい経っただろう。
色々な乗り物に乗り、はしゃぎ過ぎて少し疲れたのでテラス席に座ってソフトクリームを食べる。
『吉本、楽しいか?!』
とびっきりの笑顔で聞いてくれる虎杖君。
『うん!!!すごく楽しい!本当にありがとう!!!』
『あっ…
ここ…ついてる……』
そう言うと、虎杖君は私の唇の端についたソフトクリームを指で取り、ペロッと指を舐めた。
『///』
私は恥ずかしさのあまり、声を失った。
『わっ悪りぃ…』
虎杖君は恥ずかしそうに言う。
『あっありがとう!!
私よくこうやって口の周りにつけちゃうみたいで…だらしないよね』
私は気まずい雰囲気をどうにかしなくてはと思い、焦って言う。
『吉本ってちょっとドジなとこあるよな』
虎杖君は笑いながら言う。
『そうなんだよね…
私のドジのせいでみんなを巻き込んだり、色々心配かけたり…』
『今日はネガティブはなしだろ?』
虎杖君が優しい笑顔で言ってくれた。
2人で笑いながら話すこの幸せな時間がずっと続けば良いと思った。
『よっしゃ!!エネルギーチャージ出来たし、どんどん行くぞ!』