第5章 網にかかった蝶②【煉獄杏寿郎】
「ここは藤の家紋の家だ。気絶した君を抱えていけばすぐ部屋に案内されたぞ」
男女ということもあり二部屋用意してくれようとしたが、『脳震盪を起こしているので側で様子をみたい』と言えば一番奥の広い部屋に案内してくれたのだ。
「やっと…二人きりになれたな」
「っ…どうして、炎柱様は、こんな真似をなさるのですか…?この前も、あんなっ…」
そう言うと煉獄は少し目を見開いた。
「君が愛しいからに決まっているだろう?あの日、酔って水柱邸に泊まって、君が世話をしてくれた時から君のことが頭から離れなくなった。君を俺のものにしたくなった。一刻も早く君を手に入れたくてな…つい手を出してしまった」
「だ、だからってこんなやり方……こんなことをされて、好意など持てませんっ…!」
「ふっ…だが、あの日は俺を求め、よがり、自ら腰を振って欲しがっていただろう?」
「っ……ち、が…」
顔の輪郭をツゥとなぞられた必死で首を振る。
「まぁ、素直になるまで躾ければいい話だ」
そういうと煉獄は懐から紙に包まれた粉を取り出した。
それを見たの体が強ばる。
「あぁ、前回のようなしびれ薬ではない。安心しろ」
「やっ!…んぐっ…」
いきなり鼻を摘ままれて上を向かされる。
絶対に飲むまいと固く閉じた口が無意識に開いた。
その隙間から粉を滑り込ませ、そのまま自分の唇を重ねる。
「ん、んんつ、ぐっ…」
大量の唾液を流し込まれ、粉が喉に流し込まれる。口を離すことは許されず、それを飲み込むしかなかった。
の喉が鳴ったのを確認すると煉獄は口を離す。
「けほっ…な、なにっ…」
「すぐわかる。嫌でもな」
口角をあげて笑う煉獄を睨み付ける。
もはや相手が柱であることなどどうでもよかった。
手が解ければ。
この拘束から解放されれば…とそれだけを考えていた。
と、その時。
ドクンッ
「っ、……?」
の体が脈打ち、体が熱くなってくる。
体の奥から熱が沸き上がってくる感じ。
体が徐々に疼いてくる。
「ほぅら……効いてきた…」
煉獄がの耳元で囁いた。