第5章 網にかかった蝶②【煉獄杏寿郎】
「っ……!」
聞き覚えのある声にビクリと体が跳ねる。
恐る恐る振り替えれば、腕を組み木にもたれ掛かってこちらを見つめる煉獄がいた。
「え、炎柱様…何故ここに…」
「ここから近い場所で任務でな、帰り道見知った姿があったから来てみただけだ!助太刀もいらなそうなので見学させてもらったぞ!」
いつも通りに快活に話す煉獄。
落ち着け、落ち着け。
この人とは何もなかった。
なんの関係もない。
取り乱すな……。
「…そうなんですね。お疲れ様です」
「流石冨岡が自身の後継に、と言っているだけある!」
「炎柱様にお褒めいただけるなんて…光栄です」
当たり障りのない会話を交わして去ろうとする。
「…では、私はこれで失礼します。鬼の数が多くて少々疲れましたので…」
一礼し、くるりと背を向けて歩き出す。
不自然に思われないように、呼吸を整えて。
次の瞬間。
ガサッと音がしたと思ったら耳元で低い声がした。
「つれないな、。まぐわった仲だろう?」
「っ!!」
それなりの距離だったのにそれを一瞬で詰め、煉獄は後ろからを抱き締めていた。
煉獄の右手はの両手を胸の前で一纏めにして拘束し、左手はの細い腰にしっかりと絡み付いている。
いくら体を動かしても押さえ込まれるだけだった。
「や、やめっ…やめてください!」
「ふ、こうして触れるのはおよそ一ヶ月ぶりになるか?よもや……俺の誘いを全て断ってくるとはなぁ…?」
「っ、ぅ…!」
両手首を掴んでいる手に力が入る。
耳元で囁くように話す煉獄。
「任務の合間に捕まえようとしても中々上手くいかなくてな……こんなところで出会えるとは」
「さ、触らないでっ」
「触るな?おかしいな、君は俺のこの指や舌で随分よがっていたじゃないか」
「ひ、ぁ…」
ぴちゃ、と煉獄は音を立てての耳朶を舐めあげる。
その音と感触にの体がピクリと跳ねた。
「や、やめっ…てっ…!」
「指でナカの良いところを触って敏感な場所を触って……何度達したっけなぁ…?」
「や、やだ!やだ!」
忘れようと思っていた行為の記憶が次々と甦る。
耳を塞ぎたいのに手を捕まれていてそれができない。
は必死に頭を振った。