第2章 網にかかった蝶①【煉獄杏寿郎】
数日経って、煉獄は礼の菓子折りをもって水柱邸にやって来た。
「この前の礼だ!受け取ってくれ!」
「まぁ、炎柱様…わざわざこんな…」
「………ありがたく貰おう。上がってくれ。、茶を」
「はい、師範。すぐに用意しますのでどうぞお上がりください」
「すまない!」
少しずつ、煉獄はとの距離を縮めていった。
ある日、冨岡に長期任務の指令がきた。
冨岡は出掛ける支度をするとを呼ぶ。
「もう行かれますか、師範」
「あぁ。……、俺が不在の間は…煉獄に気を付けろ」
「炎柱様…ですか?」
「あぁ。あいつが来ても屋敷には入れずに帰ってもらえ。いいか、2人きりになるな」
いつもは物静かな冨岡が強い口調で言った。
「わ、かり…ました」
「………お前が思っているほどあいつは…紳士ではない。嫌な予感がする」
「師範がそこまで仰るなら……言い付けは必ず守ります」
「……あぁ。…では行ってくる。何かあったら鴉を飛ばせ」
「はい。…ご武運を。いってらっしゃいませ」
しかし煉獄の方が一枚上手だったということを冨岡ももまだ知らなかった。