第5章 4. 監督生の溜息
グリムは渋い表情をしながら曖昧に返す。
食えないジェイドの親切は、いくら人の良い笑顔で言ってきても、グリムにとってはどうも不気味に見えてしまう。
「明日は早起きだし、もう寝よっかぁ」
寄りかかるようにして眠って起きないシェラを、フロイドは軽々と横抱きにして踵を返すと、振り向きながらグリムに向かって怪しげな笑みを見せた。
そしてフロイドそのままシェラへ、ぐっと顔寄せると、意味ありげに言った。
「アザラシちゃんが何想像してるかは知らねぇけど……、とって食ったりはしないから、安心してよ」
フロイドはグリムへそう言い放つと、無防備に眠るシェラへ、まるで小動物を愛でるような目でにっこりと笑いかけた。
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