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泡沫は海に還す【twst】

第13章 9. 夜半の求愛 ※


「……わかった。痛かったら言ってね?」
すべて挿れてほしいとシェラが言うのは、自分に気を遣っているからではなくシェラ自身の意思だと理解したフロイドは、再び腰を沈め始める。

シェラはぎゅっと目を瞑って、これから押し寄せてくるかもしれない痛みに備える。
ぐぐっ、と更に奥深くに押し込まれるようにフロイドを感じた。
フロイドの腰が沈められると同時に、圧迫感と窮屈感が増してゆく。
みち、みち、と未開の道を更に押し拡げられながら、身も心もすべてフロイドのものになっていく。

最奥までフロイドを感じると、動きが止まった。
シェラはそっと目を開けると、不安げにフロイドがシェラを見つめていた。

「全部入ったけど……ほんとに痛くない?大丈夫?」
いつも力加減を見誤ってシェラをぎゅうっと抱き絞めようとするフロイドから、『痛くない?』という台詞が出てきたことに妙な違和感を覚えてしまう。

「んっ……、なんだかフロイド先輩から〝痛くない?〟って台詞を聞くと、調子が狂いますね」
「えーなにそれぇ。なんかその言い方だとオレが普段小エビちゃんに痛いことしてるみたいじゃん」
むうっと拗ねたように頬を膨らませるフロイドが可愛くて、シェラは表情を柔らかくする。

「ま、でも、小エビちゃんが笑ってくれたんならいーや」
「ちょっと苦しいですけど、痛くはありません」
シェラは僅かに眉根を寄せながら、フロイドに言う。
そしてそのままフロイドの手をとり、シェラのへその下あたりに触れさせる。

「ここに、フロイド先輩のが全部入ってるんですよ……?」
ここ、と言いながらフロイドの手に自分の手を重ねる。

隙間なくぴったりとフロイドを受け入れたそこは、痛くはないが、やはり少し苦しかった。
しかしそれ以上に喜びの方が大きい。心から幸せだと思った。

「……っ、小エビちゃん、大好き……っ!」
感極まったフロイドはシェラをぎゅっと抱きしめる。
そしてそのままキスをしようとした、のだが、繋がっている状態だと身長差のせいで抱きしめながら唇へのキスは厳しい。
それどころか身体を離しても難しい。
キスが出来なくなることは全く想定外だったようで、フロイドの顔に『あ……』と書いてある。
それが可笑しくて、可愛くて、シェラは笑ってしまった。
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