第13章 9. 夜半の求愛 ※
「あ……、あぁ…………っ」
「っ、ぁぁ……っ……すご……ナカ、あっつい……」
ゆっくりと馴染ませるように、ゆるゆると狭い道を押し拡げられてゆく。
処女を奪った愛しいヴィランを、シェラは下から見つめる。
太腿の裏にフロイドの指先が食いこんでいる。
フロイドは愛欲溢れる瞳で余裕のない笑顔を浮かべてシェラを見つめ、時折直に伝わるシェラの熱を味わい、そして耐えるように顔を顰めている。
フロイドのペニスを受け入れながら、シェラは愛するひとに雌に――女にさせられている感覚に浸る。
どこまで入ってくるんだろうと思った。
フロイドの先端が奥を掠めている気がする。
もう、腹の中がフロイドでいっぱいだと思った。
シェラは息を絶え絶えにさせながら、ちら、と繋がっている部分を見る。
そして思わず小さく『え……』と声を上げた。まだ全て入りきっていなかったからだ。
フロイドのペニスの大きさを実感し、シェラは驚くばかり。
フロイドはそれ以上腰を沈めなかった。
まだ、全て入りきっていないのに。
腰を押し込む動きを止めたフロイドの頬を、シェラはそっと指先でなぞる。
すると、フロイドはその手をぎゅっと握った。
「全部、いれてください……」
フロイドの下で、シェラはか細い声でそう懇願した。
すると、フロイドは分かりやすく狼狽した。
「え、でも……小エビちゃん身体ちっちゃいし、ナカすっごいキツいから、これ以上挿れたら、痛い思いさせちゃうかも……」
体格差を考え、フロイドなりにシェラの身体を慮ってくれている。
しかしシェラは首を横に振った。その気持ちだけで、シェラは十分だった。
「私は大丈夫です。……もし、痛くて我慢出来なかったらちゃんと言いますから……、もっと深く、あなたを感じたい……」
誰かと比較をしているわけではないが、確かにフロイドのペニスは大きい。
これから味わうかもしれない痛みのことを考えた時に、全く怖くないといったら嘘になる。
だが、初めてが痛いことなんてよく聞く話。セックスを合意した時点で覚悟の上だ。
痛みよりもなによりも、それ以上にフロイドの全てが欲しかった。
余すことなくひとつになりたい。繋がったところから溶けて混ざってしまうのではと思うような、そんな愛し方をされたい。