第12章 8. 愛の狩人
期待と不安が入り交じった声。やや不安の色が強めか。
確かに、あの誘い方だと不安になるのは当然だ。
かといって、モストロ・ラウンジの開店前の忙しない時間にする話でもない。
「なにを弱気になっているんです。あなたらしくもない」
まだ、今は言えない。
本当は、今すぐ伝えたい。
「……明日は学校もお休みですし、私もフロイド先輩もラウンジのシフトが入っていません。……夜は長いので、ゆっくりお話しましょう」
シェラは目を伏せると、フロイドの手を上からきゅっと握り、そして離した。
それが、シェラの今出来る精一杯の〝好きです〟という愛情表現だった。
愛しいひと。
今夜、ちゃんと言葉にして〝好きです〟と伝えるから、あとほんの少しだけ待っていてほしい。
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