第4章 代表決定戦
「うそ、忘れて」
歩の隣から立ち上がり、手すりの近くまで行ってコートを見下ろす
やっぱ女の子は及川さんみたいな人がいいんだろうか
青城の応援団の近くには、及川さんの団扇を持った女子が見える
プレー中の及川さんは特に華やかだ
あんなこと歩に言っても仕方ないのに
彼氏面して恥ずかしい
だから
行動で示すしかない
歩が僕しか見えないように
僕もプレーで魅せてやる
伊達工か青城…
どちらでもかかってこい
伊達の鉄壁三枚
そこに青城のエースのスパイク
捕まる…!
と思ったが青城のエースが放ったボールは
一番甘いブロックの両手の間を抜いてコートに刺さる
すごい…真っ向勝負で抜いた
次の相手は青城…
及川さん…
思い通りには行かせない
IHの時とは違う
歩も春高も渡さない
「ツッキー行こう」
山口に呼ばれる
「うん」
僕の目に静かな炎が宿った