第13章 新たな風
「なっ、なにがですか?!」
「歩ちゃんのこと、好きだっていってるじゃん。好きな女の子と2人きりになったらキスしたくなるのなんて当然でしょ?もちろん…その先も」
そう言って妖しく微笑むと、暗がりの中でも分かるほど歩ちゃんの顔が紅くなる
「私…蛍と付き合ってるって言いましたよね?」
「うん、聞いたよ?だから?」
「…だから?って…」
「俺は歩ちゃんのことはちゃーんと諦めるよ、でも君はこれからチョコミントを食べる度に俺とのキスを思い出すことになるね」
そう言って彼女の唇を指でなぞる
「俺はナシ派だから、チョコミント食べることもないし思い出すこともない。歩ちゃんのことなんてすぐに忘れて、ナイスバディの南米美女と恋に落ちるから」
自分に言い聞かせるように言った
歩ちゃんは怒りとも悲しみともつかない表情を浮かべている
そう、それでいいんだよ
嫌われたっていい
君は俺を忘れられない
ても俺は君のことなんか忘れてあげる
思い残すことはもうない
俺は彼女を家まで送ると、振り向くことなく玄関に消えていく後ろ姿をただ、眺めていた