第13章 新たな風
ー数日前
「で、部活紹介誰がやる?」
縁下さんが練習終わりに、みんなを集めて言うけれど…多分誰もやりたくないんだろう、みんな縁下さんと目を合わせない
「…つきし
「嫌です」
「まだ何も言ってないだろ!」
田中さんが蛍に話しかけるも、被せ気味に断られる
「いや…じゃあここは俺が!」
そう言ってノヤさんがスッと手を上げる
その様子を見ていた田中さんが
「いや、俺が」
言いながらチラッと翔陽の方を見る
この流れに気づいた翔陽も
「いえっ!ここは俺が!」
と挙手をし、蛍に目配せする
「いや、じゃあ僕が…とかなんないし。どうぞどうぞ、やりたいみなさんでやってください」
「はいはい、みんな真面目に考えて。まず、日向と谷地さんはナシ」
縁下さんが言う
「なんでですか?」
私が訊くと縁下さんはハァとひとつ、溜息をついて
「覚えてない?去年校内放送で部活紹介した時のこと」
と答えた
あ、あれか
それはまだ私たちが1年生だった時、昼食の時間に校内放送で部活紹介をしたことがあった
その時は翔陽とやっちゃんが担当して、てんやわんやの大騒動に発展したのだった
「最終潔子さんまで登場してましたもんね」
「そ、だから2人には任せらんないし、勿論そん時に乱入していった西谷と田中もナシ」
「そやったらもう、ちゃんとした人が出ましょう!縁下さん、お願いします!」
「いいけど…じゃあ橘さんも一緒に出てくれる?」
「え、私…ですか?」
「いいよな?月島」
意味ありげに縁下さんが蛍に向かって言う
「別に…いーんじゃないですか。部長とマネージャーなんですし」
「さ、決まり。じゃあ早速原稿考えないとね」
「歩は喋ったらアレだから、黙ってた方がいいぞ」
翔陽に肘で突かれる
「やかましいわ」
ーというやり取りがあり、今私は壇上に縁下さんと並んでいる