第12章 移ろう季節
ー月島side
朝練が終わってすぐ、マネージャーの2人からみんなにってバレンタインのプレゼントを貰った
歩はブラウニーを作ったらしく、3年生にも昼休みに渡しに行くと言っていた
「橘…ありがとう、でも俺の中の天使と悪魔が戦っている!潔子さんというものがありながら、お前の手作りお菓子を貰っていいものか!」
と言う田中さんに対して歩は笑いながら
「潔子さんに貰ったんですか?」
と訊く
「いや、まだだけど」
「まだ…ってことは貰う前提?!じゃあもっかい夕方に聞きますね」
イタズラっぽく笑う歩
「何だよ!期待するぐらいいいじゃねーか!」
「そーだそーだ!夢見るくらい許してくれよ!」
西谷さんまで加わって喚き始める
でも今回は少し田中さんの言い分も分かる
正直僕だってまだ期待してるんだけど
他の部員たちとは別にまだ何かあるんじゃないかって…
「田中さん、いらないなら僕がもらいますけど」
そう言うと
「いらないとか言ってないだろ!有り難く頂戴します!大体お前は別メニューで、なんかあるんじゃねぇのかよ!?!」
クラスメイトに瞬殺で交際が知れ渡り、以降バレー部内でも僕達の交際は周知の事実となっている
別メニューでなんかあるのかはコッチが聞きたい
チラリと歩を見ると、彼女は
「そや、昨日電話しようと思ってて忘れてたわ!蛍今日部活終わり、家来てくれる?その…持ってこれへん感じのものやから」
歩が言う
持って来れない感じのものってなに?
もしかして歩自身…とか
中々大胆なことを言うもんだと思って内心ドキドキしてたけど、平静を装って
「わかった」
と答えた
「チクショー!イチャイチャしやがって!よそでやれよそで!」
「見てるこっちが恥ずかしいわ!」
ガヤガヤと囃し立てる田中さんと西谷さん
と、そこに縁下さんが来て
「月島、ずいぶん楽しそうだな?今日の午後練、俺からも特別メニュープレゼントしてやろうか?」
笑いながら言ってくるけど、目が笑ってない
そうだ、この人は歩に好意を持っていた
今もまだ、そうなのか