第3章 春高予選
「へー、そうなの?」
「だから小柄な人と大柄の人はお互いに求め合うんちゃいますか?分かりませんけど。ちっちゃい女の子の方が背高い男の人好きな気がします」
夜久さんがドリンクを飲み干して、空になった容器を手渡される
「確かにね、じゃあ俺も脈アリアリじゃん」
そう言って練習に戻っていく
?
夜久さんは背高い女の子に片想いしてるんか
どんな人か知らんけど、バレーしてる夜久さん見たら絶対惚れると思うけどな
なんせ守備の音駒でリベロやってんねんから、その安心感たるや
ノヤさんもそうやけど、小柄なことなんか気にならんくらい男らしくて力強くて頼りになる
音駒で一番背高い言うたらリエーフ君やろけど、私は全然夜久さんの方が男らしいって思うけどな
まぁ3年生やしな…
「おい歩〜ヘイヘイヘーイ!お前何の連絡も寄越さず、どういつもりだ!」
木兎さんが走って近づいてくる
「俺にも連絡ないのに、木兎にあるわけないでしょ」
黒尾さんが応戦する
「お前あんまり女っぽくないんだな!女ってめちゃくちゃラインしてくるじゃん」
「いやまじでそれどころじゃなかったんですって!あと私はお喋りなんで、ライン打つのが面倒なんです。電話の方が早いんで」
「そっかそっか!俺もだ!ハハハ!じゃあ今度オールで電話しようぜ!」
「木兎さん、練習に差し支えるんでオールはやめてください」
「アカーシ!マジメか!」
「さ、もう練習戻りますよ。邪魔してごめん」
赤葦さんがペコっと頭を下げる
「あ、いえ」
「…髪切ったんだね、似合ってるよ。じゃあね」
ボソッと言われて、顔が赤くなっていくのが分かる
「…歩ちゃん、モッテモテだねー」
黒尾さんがニヤニヤしながら言う
「ちょ、社交辞令ですって!からかわんといてください!」
「アカーシが社交辞令なんて言うかな…?ま、木兎と電話でオールするなら、俺ともしてよね」
「いや、私に何徹さす気ですか」
「おーい、練習試合始めるぞー!」
夜久さんの声がして、みんなコートに入る
「ツッキーなんて俺の足元にも及ばないってとこ、しっかり見ときなよ」
黒尾さんは私の肩をポンと叩いてコートに入って行った