第11章 終わりと始まり
ー月島side
日向のやつ…
母指球に体重をかけて一層高く跳ぶハイジャンプをマイナステンポで…
しかもそれを初見で合わせる影山
「きもちわる…」
でも流れはいい感じだと思う
2セット目の序盤、相手ブロックに捕まっていた東峰さんも、あの胸のすくようなプッシュのあと、完全に調子を上げてきている
2mのスパイクを止めるために日向がブロックに跳ぶ
今このタイミングでブロックに跳べば、さっきのマイナステンポのハイジャンプは使えない
…と思ったのか、今度は横幅を目一杯使ったブロードで得点を決める
はぁ…チョロチョロと何なの
体力オバケが…
『今度はライトから回り込んで決めた!小さなポイントゲッター日向翔陽!!!』
たださすが準々決勝
このまま楽にセットは取らせてもらえない
点差を詰められて
鴎台22:23烏野
鴎台からのサーブの場面
キャプテンがしっかりレシーブして、全員で攻撃
シンクロ攻撃に紛れていた日向が、ファーストテンポのハイジャンプからスパイクを繰り出す
向こうの2mに当たったボールはそのまま場外へ落ち、烏野のセットポイント
2mがネット越しに日向に近づき
「次は捕まえてやる」
と言うと、嬉しそうにする日向
それを見た2mは困惑の表情…わかるよ、気味が悪いよね
身体が小さいだけのモンスター達
でも人間だって戦える
さてと…
僕はコートへと進んで西谷さんと交代する
そして日向と交代して山口がピンサーでコートに入った
ピーッ
山口が放ったサーブはクンッと曲がりながら2mを牽制
レシーブ乱れて万全でないトスからラストは"小さな巨人"
「止める!」
そう言ってブロックに跳ぶ
視線は雄弁
"小さな巨人"の視線は明らかに僕の指先を狙ってる
そこでブロックに上げた右手をズラしてスパイクを避ける
「ノーッッ!」
触ってないと審判にアピールする
ダンッとボールは場外に落ち、OUTを告げるように旗が挙げられる
『ーワンタッチはなし!星海のスパイクはアウトー!今、月島くん避けましたね!第2セットを取り返した、烏野ー!』
してやったり顔で"小さな巨人"を見下ろし、山口の元に向かう
「ナイスサーブ」
そう言ってハイタッチをした