第9章 春高!
ー宮侑side
春高2日目
シードの俺らはやっと出番
サブアリーナでアップを始めながら、キョロキョロと烏野高校の方を見る
もちろん探してんのは
「おいツム、歩探してんのかしらんけど、もっと集中せえや」
治に後頭部を小突かれる
「は?探してへんわ」
「ウソばっかり。向こうのチームばっかりキョロキョロしてお前ストーカーか」
「人聞きの悪いこと言うなや…あ、飛雄クンや」
「ユースの合宿で一緒やった1年セッターか?」
「おお」
俺は飛雄クンがアップしてる所に近づいていって
「気合はいっとんな〜」
って話しかける
「チワッス」
「元気しとった〜?」
「ハイ」
「今日頑張ってな??
俺、下手くそと試合するのほんま嫌いやねん」
イヤミったらしく言うてやる
でも飛雄クンは真顔で
「それはすみません、俺は下手くそじゃないです
あいつは下手くそですけど…弱くはないので大丈夫だと思います」
って相棒のチビを指差しながら言う
ほんま肝の座ったガキやで
嫌な目しとるわ…
と、ふいに懐かしい声がする
「第1試合、2セット目中盤です!」
アリーナに駆け込んできたのは烏野の背の低い可愛らしいマネージャーと、歩
歩と目が合う
アイツはやばいって顔してて、目逸らそうとしてるけど
そんなん許さへん
「よぉ〜歩、久しぶりやなぁ」
ニッコリ笑って遠くから話しかけると、烏野のメンバーの視線が歩に注がれる
みんなに注目されてるんが嫌なんか、歩は俺の方に近づいてきて小声で
「話しかけんといてくれる?」
って冷たい目をしながら言うてくる
「そんなヒドイ言い方あんまりやろ〜元彼に対して」
「ちょ、何で今ここでそんなこと言うん?!」
「何でって事実やん?それとも誰か聞かれたらまずい奴でもおるんか?」
意地悪したいわけじゃないのに、口をついて出るのは歩を煽る言葉ばっかり
ええねん別に
俺のとこに戻ってこーへんならいっそ、もっと傷つけて忘れられんようにしたるわ
「宮さん、橘さん困ってるんでやめた方がいいっすよ」
飛雄クンが怒りを含んだ口調で言うてくる
やっぱお前も歩に惚れてるんやろ