第9章 春高!
「やば…厄介なんはあの姫川って選手じゃなくて、姫川選手+天井+照明って感じやな」
「うん…みんなやっぱ慣れてないんだよ、大丈夫かな…」
やっちゃんが両手をぎゅっと握って心配そうにコートを見つめる
しかも照明が眩しいだけじゃなくて、高い位置から落下してくるボールに対応するのも難しい
姫川選手が放った2本目のサーブも、高く上がって大地さんと東峰さんの間に落ちる
でも4本目
高く上がったボールはノヤさんの両手に吸い込まれ、ポンっと美しくレシーブされた
「っしゃ!」
そこからはいつも通りの烏野
東峰さんのバックアタックで相手を蹴散らす
「やっとあの姫川ってピンサーの子下がってくれたね」
やっちゃんがほっとしたように言う
「レシーブも上手かったしな!でも多分山口くんがピンサーに出てきた時も相手同じこと思ってるやろな、はよ下がってくれって」
私がそう言うと、山口くんの名前に反応したのかやっちゃんが少し照れ臭そうに頷く
結局はそのまま流れを引き寄せ厳しい試合ながらも、いよいよマッチポイント
「あっ、スガさん」
あと一点のところでスガさんがコートに立つ
サーブもセッター狙いのいいところに入って、相手のレシーブを掻き乱す
相手のスパイクがブロックアウトを狙って、烏野ブロックに当たってバチンと弾かれたボールが場外に向かった
「やばっ」
でもそこにスガさんが走り込んでいて、思わず実況も
「ブロックに当て、大きく弾き出した!
っしかし、菅原いるーーー!」
と熱を帯びる
スガさんが繋いだボールを東峰さんが相手コートに突き刺し、烏野高校は初戦を突破した