第9章 春高!
ー宮侑side
誰が上がってこようが知ったこっちゃない
どっちみち勝つんやから
俺らはIH準優勝やからシードで一回戦はない
今戦っとるチームのどっちか、勝った方が明日俺らの相手やけど…
出来れば烏野
直接ぶっ潰したる
俺から歩を奪い取ったやつら
足を止めてコートの端のギャラリーに目をやる
半年会うてへんてもすぐ分かる
俺が人生でたった一人好きやった女
いや…今もか
歩はコッチにおった時より髪を短くして、真っ黒のジャージに身を包んで、コートの中を真剣な眼差しで見つめながら何かを手元のバインダーに記入している
「歩の髪の毛サラサラやなぁ〜しかもめっちゃええ匂いする」
そう言って後ろからギュウって抱きしめると、歩は照れて
「もう、そんなクンクン嗅がんといてよ!恥ずかしいやん」
って言う
「俺、お前の髪めっちゃ好きやわ。ずっと長くしとってな」
「…分かった」
何で今そんなこと思い出したんか分からんけど
「ずっと長くしとってって言うたのになぁ…」
と独りごちる
髪は短くなってたけど、たった半年会わんかっただけで益々ええ女になってんのには焦る
歩は真剣な眼差しでコートを見つめる
その先にいる、烏野のメンバー
羨ましい
腹立つ
そん中にユース合宿で一緒やった影山飛雄がおる
うまいだけで特に目立たんお利口なセッター
…やったはずちゃうんか
クイックよりもっと速い攻撃
それに気を取られた瞬間に嘲笑うようなツー
「はぁ〜?合宿ん時と顔ちゃうやん、こわいわ〜」
それにアレ何モン?
オレンジの派手な髪のチビ
見たことない選手やけど…
さっきの会場中が沸いた超速攻見てゾワッとした
嬉しいなぁ
歩のことを抜きにしても
こいつらと遊んでみたい
明日が楽しみやなぁ