第9章 春高!
ー月島side
何で僕がコイツらのランニングに付き合わなきゃいけないわけ?
しかも土地勘もないくせに無鉄砲に飛び出していく単細胞バカ×2名
こんなやつのどこがいいんだか…
昨日見かけてしまった情景が思い出されて、首をブンブンと振る
「さぁ、そろそろ宿に戻るよ」
僕がそう言うと
「え、ちょ、まだ走り足りないって」
日向が走りながら振り向いて抗議する
「別に僕はいいけど?君たち今どこ走ってるか分かんないんでしょ?知らないよ、明日体育館にたどり着けなくても」
そう言って自転車の向きを変えて、元来た道を走り出すと
「うぁぁぁ!!月島ァ!置いてくなよ!」
「てめっ、待ちやがれ!」
2人が全速力で追いかけてくる
スタミナ妖怪め…
宿について自転車を停める
「戻りましたー」
ガラッと扉を開けると
視界に飛び込んできたのは
同じソファに腰掛ける歩と縁下さん
いくら何でも距離近すぎない?
歩はお風呂上がりの無防備な姿で、くるっと僕の方を振り向く
真っ赤な顔をしてるのは…どうして?
「ツッキー…」
弱々しく口を開く彼女に、いつもの圧はない
やめてよ
諦めようとしてんのに
影山と秘密で付き合ってんのに
そんな顔で
僕のこと見ないでよ
どうしていいか分からずに、歩から目を逸らして風呂場に向かった