第8章 それぞれの春高まで
「潔子さん…」
「だってずっと女は1人だったし、コートの中でプレーするわけじゃないから…でも2人が入ってくれて、やっと私にも仲間が出来たんだって…」
そう言って恥ずかしそうに笑う潔子さん
神々しさがやばい
潔子さんの神々しさに見惚れていると、コート内から二口さんの声が聞こえる
「ほらもっと声出して、点取ったら盛り上がってこーぜ!」
ハッ
二口さんがキャプテンらしいこと言ってる
いつもドSやけど、やっぱり試合中はあんな風に…
「いろんな方法で相手にプレッシャーかけんだよ!心折りにいくんだよ!主審に目をつけられない程度に!」
前言撤回
徹底したあくタイプやった
先輩たちもギャラリーから口々に愛のある野次を飛ばしている
「伊達工業さんは楽しそうで何よりだね」
やっちゃんが苦笑いしながら言う
「ほんまに」
それに比べて烏野のトゲトゲしさ
フェイントに気づいたツッキーが二度跳びせんかったことを強い口調で注意する影山くん
あわや乱闘寸前
オロオロしながらコートを見守る
極め付けに影山くんの完璧なトスを打った東峰さんのスパイクはアウトになり…
「クソッ、スマン!トスはよかったよ」
謝る東峰さんに対して影山くんが
「じゃあ決めてくださいよ」
と言い放つ
確かに言いたいこと言えばって言ったけど(2回目)
その様子を見ているベンチのみんなもザワザワし出す
結局そのセットは落として、フライング一周したみんなが戻ってくる
戻ってきたみんなにドリンクを渡しながら様子を伺う
東峰さんが何かを話そうと影山くんに声をかける
「あー、あのな影山
「俺は…
俺はいいトスあげてます!もっと決めてください!」
周りの空気が凍りつく
言ってしまった影山くんもハッとした表情になる
「久々に王様節じゃない〜」
ツッキーだけが、やや楽しそう
「前から思ってたけど、王様ってなんでダメなの?横暴だから?自己チューだから?
でもどっちみち影山が何言っても納得しなかったら、おれは言うこと聞かない」
渡したタオルでゴシゴシと汗を拭きながら翔陽が言う
「俺は内容はどうあれ言い方がムカついたら聞かない」
「左に同じ」
田中さんの言葉にツッキーが乗っかる