第7章 選抜合宿
ウシワカさんが威圧的に心配してくれる
「あ、もう大丈夫です。昨日はありがとうございました」
私がペコッとお辞儀をすると
「礼なら白布に言ってやってくれ」
そう言ってウシワカさんは私の隣を通り過ぎ、アリーナに入っていく
ウシワカさんに続いて、天童さんもアリーナに入り
急にクルッと後ろを振り向く
「ってかさー軽トラ娘のそのパーカーさぁ、賢二郎のじゃナイ?昨日何かあったのかな〜」
ニヤニヤしながら天童さんが白布さんを肘で小突く
「なっ…何もないですよっ」
慌てる白布さんが珍しいのか、天童さんは楽しそうにからかう
「自分のパーカー着せてマーキングするなんて、賢二郎は案外独占欲強いんだね〜」
「天童さんっ!違いますから!」
白布さんの顔がカァッと赤くなる
私にとったら歳上で優しくて頼りになるクールな白布さんも、先輩の前ではまた違う表情を見せる
「ごめん、橘さんそんなつもりじゃないから」
「いえいえ、むしろ私に親切にしてくださったばっかりに、あらぬ誤解を…」
「誤解…じゃないかも」
「え?」
「何でもない」
そう言って白布さんはアリーナに入っていった
誤解じゃない
ってなに?
意味がわからん
洗濯機の中で回るタオルを見ながら考えると、余計に訳が分からなくなった
タオルを洗濯して戻ってくると
翔陽がウシワカさんに話しかけてる
何を話してるのか気になって近寄っていくと
「牛島さんはレシーブの時、何を考えてますか?!」
目を輝かせてウシワカさんに質問をする翔陽
そしてその質問に、真面目に答えてくれるウシワカさん
私もウシワカさんの言葉をノートに書き留める
「妖怪チビガラスに雌ガラス、烏野はヤベェ奴ばっかだねぇ〜」
後ろから天童さんに言われる
「マジで天童さんにだけはヤベェ奴とか言われたくないです」
「生意気〜ほんと烏野の1年腹立つやつばっか!あのクソメガネ小僧と言い…」
「クソメガネ小僧!アハハ!」
翔陽と2人で顔を見合わせて笑う
「でも…楽しかったヨ、ね、若利クン?」
「…ああ」
翔陽だけじゃない
私もここにこれてよかった
家に帰ったらここで学んだこと、ちゃんとノートにまとめて明日コーチに渡そう
ー合宿全日程終了